イチオシ! リース: ピアノ・ソナタとソナチネ集 第3集
|
このアルバム、特に必聴すべきはTr5~7の「ピアノ・ソナタ 嬰ヘ短調 Op.26」。ついている副題がすごいんです。「不運 L’infortunee」…いったいリースに何があったというのでしょう。己の運命を嘆いているのでしょうか。それとも短調のピアノ・ソナタにかけては右に出るものがいないかの師匠・ベートーヴェンへのひそかな賛辞(?)をこめているのでしょうか。リースに近ごろ興味津々なアナタ、まずはこのアルバムを聴くしかありません。
|
ベートーヴェン/リース: クラリネット三重奏曲集
|
ここで注目したいのはフェルディナント・リース、彼はベートーヴェンのヴァイオリンの師フランツの息子で、自身は今度はこの大作曲家のピアノの弟子になり、ベートーヴェンの伝記作家としてその名を永遠にとどめることになった人物です。今日その作品に触れるのは非常に珍しいのですが、このクラリネット三重奏曲はなかなかの掘出し物、大活躍するピアノをお聴き下さい。ベートーヴェン作品の方は、名高い管楽のための「七重奏曲Op.20」を編曲したもので、この三つの楽器でも演奏できるとは嬉しい、ファンなら押さえておきたいアイテムです。
|
リース: ピアノ・ソナタとソナチネ集 第1集
|
ベートーヴェンの弟子であり親友としてもおなじみ、フェルディナント・リースですが、彼の書いたこれらのピアノ曲は、シューベルトやその先のショパンを予見させる独創性に満ちた才気渙発な作品です。なかでも1811年から12年、彼がロシアへの演奏旅行中に書いた美しいソナチネは、内容がぎっしり詰まった名作と言えましょう。
|
リース: ピアノ・ソナタとソナチネ集 第2集
|
ご存知、ベートーヴェンの弟子、友人であったフェルディナント・リースの作品集第2集です。彼がソナタを作曲した当時は、このジャンル自体が大きな転換期を迎えていた頃で、彼はハイドンやベートーヴェンの作品をお手本にしつつも独自の形式を開発し、その独創性は後のシューベルト、シューマン、そしてショパンさえも予感させるものでした。第2集もスーザン・カガンの丁寧な演奏によって、知られざる作品が蘇ります。
|
リース: ピアノ・ソナタとソナチネ集 第4集
|
NAXOSではおなじみのリースのシリーズです。リースはベートーヴェンにピアノを学び、ピアニストとしてヨーロッパ各地を演奏旅行しました。彼の作品は師の影響を受けつつも、とても独創的であり、また確立された個性を有しています。ニ長調のソナタは、1808年に作曲された若き頃の作品です。フランス滞在時の1811年に出版されています。ニ長調という明るい調性を見事に生かした快活な第1楽章は、確かに古典派とロマン派を繋ぐ豊かな発想が感じられます。特徴的なリズムを持つ第2楽章、そして終楽章は見事な変奏曲となっています。この曲の中に「18世紀の良き音」を聴くことができるでしょう。変イ長調のソナタはリースの最後から2番目のソナタです。1826年に書かれ、彼の作曲技法の頂点を極めるものとして聴きどころの多い作品です。静けさと平穏に満たされたように見える第1楽章にも様々なドラマが隠されています。今作も名手カガンによる明晰な解釈でお楽しみください。
|
リース: ピアノ・ソナタとソナチネ集 第5集
|
スーザン・カガンによるリース(1784-1838)のソナタ・ソナチネ第5集です。全部で14曲あるこれらの作品中、今作は1823年頃に書かれたOp.114と最後の作品であるOp.176(1832年作)、そして恐らく1800年代初頭に書かれたであろう最初の作品WoO11の3曲を収録しています。ロ短調ソナタは明らかにベートーヴェンの影響が感じられますが、どことなく未熟な感が否めないのは仕方ないところでしょう。やはり後期の作品は練られたもので安心して耳を傾けることができるというものです。かのロベルト・シューマンは1835年に「新音楽雑誌」で、フェルディナント・リースと、ベートーヴェンについて言及。リースについては「注目に値する独創性」と称賛しています。古典派からロマン派へ。この時代に生きた作曲家は誰しも多かれ少なかれ、この波に揉まれたに違いありません。
|
リース: ピアノ協奏曲集 第1集
|
リースの名は弟子の一人として、ベートーヴェンの伝記の中によく登場しますが、彼自身の作品については長らく無視され続けてきました。しかしその価値は見直される機運にあり、NAXOSでもピアノ協奏曲全集をスタートすることになりました。作風は期待通り、まさにベートーヴェンと前期ロマン派を繋ぐものとなっています。オーケストラの全奏や、独奏ピアノのパッセージの端々に「おや、これはベートーヴェン!?」と髣髴させるものもある一方、フンメルやモシュレスを思わせるような、(ショパン、リスト以前の)ヴィルトゥオーゾ風パッセージが盛りだくさんという、大変楽しくカッコいい、ロマン派ピアノ・マニア垂涎の作品たちといえましょう。
|
リース: ピアノ協奏曲集 第2集
|
19世紀前半の最も偉大なピアニストと言えば、誰もがフンメルとリースの名前を挙げることでしょう。特にこのリースはべート―ヴェンの弟子で、師の回想録を出版したことでも知られています。ここに収録された3つの作品はどれもベートーヴェン風の力強さと抒情詩的な美しさが見事に調和していて聴きごたえたっぷり。時にはまるでショパンを思わせるロマンティックな部分も備えていて、鮮烈な印象を残します。
|
リース: ピアノ協奏曲集 第3集
|
現在ではすっかり忘れ去られてしまった感のあるリースの作品ですが、彼が存命だった時代では「作曲家&ピアニスト」として驚くほどの人気があったのです。彼の師であったベートーヴェンとは違い、リースはその生涯の終り近くまでヨーロッパ全土で名手としての知名度を欲しいままにしていました。このアルバムに収録された「ピアノ協奏曲」は1823年に作曲された彼の第7番目の協奏曲です。1813年からロンドンに住んでいた彼が故郷へ帰るにあたってのステージからの引退表明であり、その前に書かれた「ルール・ブリタニアによる変奏曲」と、Op.170の変奏曲もイングランドへのオマージュとなっています。ヒンターフーバーの輝くような美音にも注目してください。
|
リース: ピアノ協奏曲集 第4集
|
NAXOSのリース(1784-1838)のピアノ協奏曲もこれで第4集目となります。 第5番のタイトル「田園風」は、彼自身が名付けたもので、彼の3曲あるタイトル付きの協奏曲の中の1曲ですが、他の2曲とは違い、最初に出版されたスコアに付されていたものです。このタイトルを聴いて誰もが思い出すのは、ベートーヴェンの「田園交響曲」でしょう。もちろんリースもこの曲を良く知ってはいましたが、別に影響されたわけではないようで、当時のボヘミアとオーストリアには、「牧歌的」なイディオムがそこら中にあったと考える方が正しいようです。タイトル通り、平和で美しい音楽です。もちろん、時として爆発する瞬間もありますが。それに比べ、ハ短調の協奏曲は調性の特性もあってか、かなり劇的に始まりますが、終楽章が予想外にのどかなのも面白いところです。1835年に書かれたロンドは、当時流行の「自らの技巧を誇示するために最適」な作品。こんな良いものが出版されなかったのが不思議です。
|
リース: ピアノ協奏曲集 第5集
|
大好評、リース(1784-1838)のピアノと管弦楽のための作品集もこの第5集で完結となります。様々な形態で書かれた14作品は、フンメルと並ぶ、19世紀初頭のピアノ音楽における「究極の形」の一つとして燦然と輝くことは間違いありません。耳の故障のため、比較的早い時期から舞台に立つことをやめたベートーヴェンとは異なり、リースは晩年まで有名な巨匠であり、常に新しい音楽の流行を探っていました。ここに収録されている3曲のピアノ協奏曲のうち、1806年に書かれた第2番は9歳のフランツ・リストが公開演奏会で弾いたという記録もある作品。曲調こそベートーヴェンの第3協奏曲に似ていますが、至るところで独自性が光る初期の作品です。また「ロンド」はロンドンから戻った後の1825年の作品であり、1832年に書かれた第9番の協奏曲は、充実したオーケストラパートを持つ充実した作品です。
|
リース: フルートとピアノのための作品集
|
ベートーヴェンの弟子であり、また古典派とロマン派を繋ぐ作曲家として人気の高いリース。彼は交響曲作家、あるいはピアノ曲の作曲家として良く知られていますが、室内楽もなかなか素晴らしいものを残しています。その中で、フルートの小品は、主に教養あるアマチュア演奏家のために書かれたもので、魅惑的なメロディと煌めくようなピアノ伴奏が魅力です。これらの4つの作品は彼がイギリスへ旅行した頃(1813-1823年)の作品とされ、極めて充実した内容を持っています。当時はこのような作品が数多く書かれたのでしょうが、やはりベートーヴェンの弟子たるプライドもあったのでしょうか。単なる技巧的な作品だけでは終わらないところがさすがです。
|